まるで僕らはエイリアンズ
電車に揺られている。10時18分。
学校を抜け出してきた。
頭が良いゆえ必然的に放任主義をとる進学校でもなければ、荒れ果てたヤンキー高でもない、私が通う普通の偏差値の普通の高校は 普通に遅刻や髪染めに敏感だ。
無断で帰ったなんてバレたらすぐさま親まで連絡が行くだろう。
親不孝な娘だ。迷惑ばかりかけている。
今朝は3分ほど遅刻した。
「あともう少しで間に合うんだから頑張りなよ。」
担任にそう言われ苦笑いしながら返事をした。
私は近頃睡眠薬なしでは寝ることができない体になっている。
体質なのか体が小さめなせいなのかはわからないが目が覚めた後も睡眠薬の効果が続いてしまうため非常に寝起きが悪い。
どうしても瞼が閉じて意識が遠のいてしまう。
「あともう少しで間に合うんだから頑張りなよ。」
そのとき、馬鹿な若者たちがよくリツイートしがちな「私のキモチ、おまえにわかるの?」みたいな幼稚な感情が私の中にも確かにあることに気づいた。
人のキモチなんて誰にもわかるはずがない。思いやりがあると言われるような類の人は想像することが得意なだけで別に人のキモチを読み取るエスパーじゃない。そんなことわかってる。でも私のことをわかってくれない人は嫌だ。今までそんなこと思ったことなかったけれど、私はすっかり嫌気がさしてしまった。だから帰りたくなった。この教室には誰も私のことをわかってくれる人はいないと思ったから。
イヤフォンから流れる曲は乃木坂46の「生まれたままで」
昔愛希がオススメしてくれた。
教室を出た瞬間からずっとリピートしている。
“ 学校辞めたことは今も後悔してない
問題なのはあまりに長い命の残り ”
1番お気に入りの歌詞だ。
学校を辞めるつもりはないが、うんうんとうなづいてしまう。
大人になりたくない。
大人になっても大人になりきれない気がする。
大人になってもこうやって少しでも嫌になったら逃げてしまうと思う。
明るい未来はまだ無い。